じゃがいもにはさまざまな種類があり、世界中で作られています。
今回は、じゃがいもの歴史や種類、おすすめ調理方法を解説します。
じゃがいもの種類別に一覧表をまとめているので、それぞれの特徴を比較するのに役立てることができるでしょう。
これからじゃがいもを栽培したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
じゃがいもの種類はどれくらい?
じゃがいもと聞くと、メークインや男爵いもの名前を挙げる人も多いのではないでしょうか。
しかし、じゃがいもは世界中で作られており、数多くの交配種が各地で作られています。
ここでは、じゃがいもの種類や歴史を確認しておきましょう。
世界中にあるじゃがいもの種類は2,000種類を超える
世界中で作られているじゃがいもは2,000を超える種類があります。
各国の気候や土壌に合わせたじゃがいもが開発されるようになり、数多くの品種が誕生しました。
2,000種類ある品種のうち、国内で流通しているじゃがいもは約20種類といわれています。
代表的な種類に挙げられるのは、メークインや男爵いもです。
国内市場に出回っているじゃがいもの約8割は、広大な農地で知られる北海道で生産されています。
じゃがいもの皮の色は茶・赤・紫がある
じゃがいもは大きく分けて粉質と粘質の2つの特徴があります。
粉質のじゃがいもは加熱後にホクホクとした食感が特徴的です。
一方の粘質のじゃがいもは煮崩れしにくく、滑らかな食感があります。
じゃがいもの皮の色は茶・赤・紫の3種類があり、日本ではメークインや男爵いもなどの茶色の皮が一般的です。
他には赤みを帯びた皮に白・黄色の果肉のじゃがいもや、皮も果肉も紫色のじゃがいもがあります。
じゃがいもを選ぶ際は皮の色よりも食感や煮崩れするかどうかなど、特徴で品種を見極めることが重要です。
じゃがいもの歴史はアンデス山脈から始まった
じゃがいもの原産地は南米大陸のアンデス山脈です。
アンデス山脈の3,000m以上の高地には、じゃがいもの起源とされる野生種が数多く残っています。
じゃがいもが世界へ伝わったきっかけになったのは15世紀後半にスペイン人が南米大陸に渡ったことです。
スペイン人がじゃがいもを持ち帰ったことで、ヨーロッパへ伝わりました。
しかし、アンデス山脈よりも温暖な気候のためじゃがいもが育ちませんでした。
実際に食べられるじゃがいもが作られるようになったのは、18世紀半ば頃とされています。
日本にじゃがいもが入ってきたのは17世紀初めで、インドネシアのジャカルタを経由して伝わりました。
「ジャカルタから来たいも」がなまって「じゃがたらいも」となり、最終的に「じゃがいも」という名前になったと言い伝えられています。
現代で作られているメークインと男爵いもは、明治時代にアメリカから伝わりました(※)。
じゃがいもの種類一覧表
品種名 | 原産地 | 肉質 | 皮の色 | 果肉の色 | 煮崩れのしやすさ |
男爵いも | アメリカ | 粉質 | 白黄 | 白 | しやすい |
キタアカリ | 北海道 | 粉質 | 黄 | 黄 | しやすい |
ベニアカリ | 北海道 | 粉質 | 淡赤 | 白 | しやすい |
アンデスレッド | 南米アンデス | 粉質 | 赤 | 黄 | しやすい |
グラウンドペチカ(デストロイヤー) | 長崎県 | 粉質 | 赤、赤褐色の班 | 黄 | しやすい |
メークイン | イギリス | 粘質 | 白黄 | 黄白 | しにくい |
ジョアンナ | フランス | 粘質 | 黄 | 黄 | しにくい |
ホッカイコガネ | 北海道 | 粘質 | 淡褐 | 淡黄 | しにくい |
とうや | 北海道 | 粘質 | 黄褐 | 黄 | しにくい |
ノーザンルビー | 北海道 | 粘質 | 赤 | 赤 | しにくい |
インカのめざめ | 北海道 | 粘質 | 黄褐 | 濃黄 | しにくい |
十勝こがね | 北海道 | 粘質 | 白黄 | 淡黄 | しにくい |
シンシア | フランス | 粘質 | 白黄 | 淡黄 | しにくい |
シャドークイーン | 北海道 | 中 | 紫 | 濃紫 | やや煮崩れしにくい |
キタムラサキ | 北海道 | やや粘質 | 紫 | 紫 | しにくい |
【じゃがいもの種類】ホクホクした食感が特徴
ここからは、粉質で加熱後の食感がホクホクのじゃがいもを5つ紹介します。
1.男爵いも 2.キタアカリ 3.ベニアカリ 4.アンデスレッド 5.グラウンドペチカ(デストロイヤー) |
男爵いも
男爵いもの原産地はアメリカです。
国内で最も多く生産されている品種で、じゃがいもの代表格として名前が挙げられます。
皮の色は白みがかった黄色で、果肉の色は白です。
男爵いもの表面はでこぼこしていて、深いくぼみが多数見られます。
肉質は粉質で、加熱するとホクホクした食感が特徴です。
男爵いもは茹でると煮崩れしやすいため、煮込み料理には不向きといわれています。
キタアカリ
キタアカリは北海道が原産のじゃがいもで、ツニカと男爵いもの交配種です。
ツニカはじゃがいもの生長を阻害するジャガイモシストセンチュウへの抵抗力が高いとされる品種です。
皮と果肉の色はどちらも黄色であることから、「黄金男爵」や「クリじゃがいも」とも呼ばれています。
キタアカリの肉質は男爵いもと同じ粉質のため、煮崩れしやすい傾向にあります。
ベニアカリ
ベニアカリは北海道で作られたじゃがいもです。
ジャガイモシストセンチュウの抵抗性が高い品種を選抜し、交配させて誕生した品種です。
皮の色は淡い赤で果肉は白い特徴があります。
男爵いもよりもでんぷん価が高く、切断面は黒く変色しにくいとされています。
肉質は粉質で、加熱すると煮崩れしやすいため煮込み料理には向いていません。
アンデスレッド
アンデスレッドは南米大陸のアンデスが原産のじゃがいもです。
皮の色は赤く、果肉は黄色でさつまいもに似た甘みがあります。
果肉が黄色なのは、ベーターカロテンと呼ばれる色素成分が多く含まれているためです。
アンデスレッドの肉質は粉質で、比較的煮崩れがしやすい品種とされています。
グラウンドペチカ(デストロイヤー)
グラウンドペチカは長崎県で誕生したじゃがいもです。
実は、同県で生産されているレッドムーンと呼ばれる品種が突然変異を起こして生まれたのがグラウンドペチカでした。
皮の色は赤で赤褐色の斑が入っており、果肉は黄色とさつまいもに似た外見です。
皮の模様が覆面レスラーに似ていることから「デストロイヤー」とも呼ばれています。
グラウンドペチカの肉質は粉質で、煮崩れはしやすい傾向にあります。
【じゃがいもの種類】滑らかな食感が特徴
ここでは肉質が粘質で、滑らかな食感が特徴のじゃがいもを紹介します。
メークイン
メークインはイギリス原産のじゃがいもです。
日本には大正時代に入ってからアメリカ経由で伝わったといわれています。
国内では男爵いもに次いで多く生産されている品種です。
皮の色は白みがかった黄色で、果肉の色は黄みが強い白です。
表面のくぼみは浅いため、皮むきしやすい特徴があります。
メークインは茹でても煮崩れしにくいことから、カレーやシチュー、肉じゃがなどの煮込み料理によく使用されています。
ジョアンナ
ジョアンナはフランスが原産のじゃがいもです。
フランスのじゃがいも専門の育種メーカーによって作られました。
登録出願時は「ジュリエット」という名称でしたが、日本向けに「ジョアンナ」という名称に変更されたという経緯があります。
皮と果肉は黄色で、煮崩れしにくい特徴を持っています。
ホッカイコガネ
ホッカイコガネは北海道が原産のじゃがいもです。
皮は淡い褐色で、果肉は淡い黄色をしており、見た目はメークインに似ています。
元はフレンチフライ用ポテトとして作られた品種です。
糖分が少ないため、皮付きのままでもきれいに揚げることができます。
甘みは少ないものの、じゃがいも本来のおいしさを味わえます。
とうや
とうやは北海道で作られたじゃがいもです。
一般的に、「黄爵(とうや)」という名称で出荷されています。
皮は黄みがかった褐色で、果肉は黄色です。
でんぷんが少なく、ビタミンCが豊富に含まれています。
抗酸化力が高いビタミンCの働きによって、切断面は変色しづらい特徴があります。
とうやは煮崩れしにくいため、茹でたり煮込んだりする料理におすすめです。
ノーザンルビー
ノーザンルビーは北海道で生まれたじゃがいもです。
皮も果肉も赤く、アントシアニンが豊富に含まれています。
アントシアニンとは、ナスやブルーベリーに多く含まれる赤い色素のことで、ポリフェノールの一種です。
赤い色素は加熱後も色落ちしにくい特徴を活かして、ポテトサラダやニョッキなどの料理に使用するのもよいでしょう。
【じゃがいもの種類】どの料理にも合う万能さが特徴
ここからは、どのような調理方法にも利用しやすい万能なじゃがいもの種類を紹介します。
インカのめざめ
インカのめざめは北海道が原産のじゃがいもで、南米のアンデスとアメリカの品種を交配させて作った品種です。
皮は黄みがかった褐色で、果肉は濃い黄色です。
インカのめざめはじゃがいもの品種の中でもサイズが小さいという特徴があります。
果肉のきめが細かいため、舌触りは滑らかです。
肉質は粘質で煮崩れしにくいため、さまざまな料理に利用できます。
十勝こがね
十勝こがねは北海道で誕生したじゃがいもです。
十勝こがねを親種とした「こがね丸」や「ピルカ」と呼ばれる品種が生まれています。
皮は白みがかった黄色で、果肉は淡い黄色です。
表面はでこぼこが少なく、皮がむきやすい特徴があります。
肉質は粘質で煮崩れがしにくいうえに加熱後の褐変や黒変が少ないため、じっくり時間をかけて煮込む料理におすすめです。
シンシア
シンシアはフランス原産のじゃがいもです。
皮は白みがかった黄色で、果肉は淡い黄色です。
表面はツルッとした卵形で皮がむきやすい特徴があります。
また、芽が出にくい品種のため、長期間の保存が可能です。
肉質は粘質で煮崩れしにくく、バターやクリームとの相性がよいため、洋食メニューを作る際におすすめです。
シャドークイーン
シャドークイーンは北海道で作られたじゃがいもで、後述するキタムラサキから採取した受粉種子から育成されました。
皮が紫で、果肉は皮よりも濃い紫をしています。
紫色が強く表れているのはアントシアニン色素の含有量が多いためです。
加熱すると果肉に青みが増します。
比較的甘みが強く、病気には弱い傾向があります。
肉質は粉質と粘質の中間で、やや煮崩れしにくいといわれています。
キタムラサキ
キタムラサキは北海道生まれのじゃがいもです。
アントシアニン色素が多く含まれており、皮と果肉の色はどちらも紫です。
シャドークイーンと同様に、加熱すると青みを帯びる特徴があります。
甘みが強いため、スイートポテトや芋を使用したスイーツにおすすめです。
肉質はやや粘質のため、煮崩れはしにくい傾向にあります。
じゃがいも種類別のおすすめの調理方法
ここまで、さまざまな種類のじゃがいもを紹介しました。
最後に種類別のおすすめの調理方法を解説します。
じゃがいもにおすすめの調理方法は以下の3つが挙げられます。
それぞれの調理方法や向いている品種を確認してみましょう。
じゃがいもを蒸して食べる
じゃがいもを蒸して食べたい場合は、ホクホクとした食感や滑らかな食感の品種がおすすめです。
たとえば、次のような品種が挙げられます。
・男爵いも ・キタアカリ ・メークイン ・インカのめざめ |
蒸して食べる料理として、ふかしたじゃがいもの上にバターを乗せて食べる「じゃがバター」や「ポテトサラダ」があります。
じゃがいもを煮て食べる
じゃがいもを煮込んで食べたい場合は、粘質性の高い品種がおすすめです。たとえば、次のような品種が挙げられます。
・メークイン ・とうや ・ホッカイコガネ |
煮込んで食べる料理として、「カレー・シチュー」や「肉じゃが」「おでん」などがあります。
じゃがいもを揚げて食べる
じゃがいもを揚げて食べたい場合は、ホクホクした食感のある品種が向いています。
おすすめの品種は以下のとおりです。
・男爵いも ・ベニアカリ ・ホッカイコガネ |
揚げて食べる料理には、「コロッケ」や「フライドポテト」があります。
まとめ
じゃがいもは世界中に2,000を超える種類があります。
それぞれの種類には異なる特徴があり、向いている調理方法や栽培に適した気候は異なります。
じゃがいもの種類を選ぶ際は、どのような料理に使用できる品種を栽培したいのかを考えたうえで自分に合った品種を探しましょう。
数種類のじゃがいもを栽培し、詰め合わせにして販売したり、ふるさと納税を利用したりするのも一つの方法ですね。
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