小規模でも儲かる農業をしたいものの、具体的な方法が分からないという方も多いでしょう。
今回は、小規模農業が儲かる方法として多品目少量栽培の特徴やメリット・デメリット、儲かる理由、具体的な方法を詳しく解説します。
小規模農業が多品目少量栽培で売上を向上させるためのコツも紹介しているので、合わせて参考にしてください。
小規模でも儲かる農業とは?
小規模でも儲かる農業をするなら、多品目少量栽培がおすすめです。
多品目少量栽培とは、数十種類の作物を同時進行で栽培する方法のこと
大規模農業に比べて初期投資が安く、生産量が少なくても高い収益を得られる傾向があります。
また、小規模で農業を始められるので、栽培に失敗した場合でも損失のリスクを軽減できます。
小規模農業が多品目少量栽培をするメリット
小規模農業が単品目を栽培するのに比べて多品目少量栽培をするメリットは次のとおりです。
- 小規模農業と相性が良い栽培を行える
- 高い収益が期待できる
- 新しい品種や品目を栽培できる
多品目少量栽培は多品目を扱うものの、生産量が少ないため作付面積が小さい小規模農業でも対応できます。
高い単価の作物を厳選して栽培できるので、作付面積が小さくても高い収益を得やすいでしょう。
また、市場に出回っていない新しい品種や品目の栽培にも挑戦しやすく、他の農家と差別化を図れます。
万が一、栽培に失敗しても生産量が少ないためリスク分散になります。
小規模農業が多品目少量栽培をするデメリット
小規模農業が多品目少量栽培を行った場合、作業効率が悪くなることもあります。
作物の種類によって栽培方法はもちろん、害虫対策や土壌に求める条件が異なるため、品種や品目の相性なども考えた上で栽培しなければなりません。
また、出荷時はそれぞれの作物の大きさや形などに合わせて袋詰め、梱包をする必要があるため、出荷準備をするのに時間や労力がかかるでしょう。
作業効率を向上させるための工夫
多品目少量栽培の作業効率を向上させるためには、次のような工夫が必要です。
- 苗に薬剤を散布する
- 栽培する品種や品目をリスト化する
害虫対策として作物の苗に薬剤を散布しておくことでしっかりした苗に生長するため、植えた後に薬剤を散布する手間を省けます。
また、作物を販売する取引先から必要な作物の種類や購入量をヒアリングしてリスト化することで、作物の売れ残りや不足による販売機会の損失のリスクを軽減できます。
多品目少量栽培で儲かる小規模農業の特徴
多品目少量栽培で稼いでいる小規模農業の主な特徴は以下の3つが挙げられます。
- 高単価の作物を栽培している
- 栽培方法が最適化されている
- コストがかからない栽培方法を行っている
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
高単価の作物を栽培している
農業所得が大きい小規模農業ほど、高い単価の作物を選ぶ傾向があります。
農林水産省が公表した2007年の「品目別経営統計」によると、露地栽培の10a当たりの農業所得は「ししとう」が最も高く142万8,000円、最も低いのは「たまねぎ」で11万1,000円でした。
ビニールハウスなどを用いた施設栽培で最も高かったのは「ミニトマト」で202万8,000円、最も低いのは「青ねぎ」で34万2,000円です。
このように、作物の販売価格は品種や品目によって異なるため、高い単価の作物を選ぶことで高い収益を得やすくなるでしょう。
栽培方法が最適化されている
高い収益を稼いでいる小規模農業では、最適化された栽培方法を取り入れています。
日本は寒冷地の北海道から冬でも温暖な気候の沖縄まで地域ごとに気候が異なり、同じ時期でも栽培できる品種や品目が違います。
施設栽培は工夫次第で、その地域で露地栽培が難しい作物でも生産できますが、施設の管理コストや暖房・冷房設備のランニングコストなど高いコストがつきものです。
地域に合った作物を無駄なコストをかけずに栽培できるように工夫し、栽培方法を最適化しましょう。
コストがかからない栽培方法を行っている
所得の高い小規模農家ではドローンやロボット技術、AIなどの先端技術を利用したり農業機械をリースしたりして無駄な経費を削減し、コストがかからない栽培方法を行っています。
小規模農家の所得は大まかに計算すると、売上から経費を差し引いて残った金額です。
無駄な経費を削減できれば差し引く経費も減って利益が多く残るため、所得を増やせるでしょう。
IT技術を用いる場合、システムの導入など初期投資が必要ですが、長い目で見ればコスト削減につながります。
小規模農家が多品目少量栽培をすると儲かる理由
小規模農家が多品目少量栽培で儲かる理由は、作付けのバランスをとりながら旬の作物を栽培できるからです。
単品目を栽培する場合は旬の時期が限られますが、多品目なら栽培時期が重ならないように複数の品種を作付けすることで一年中、旬の野菜を出荷できます。
また、市場に出回らないような希少価値が高く需要がある作物を栽培すれば、生産量が少なくても高い収益を上げられるでしょう。
ただし、高い単価で売れる作物であっても、需要が少ない場所で販売すると売れ残ってしまいます。
必要とする人に販売すれば10倍以上の価格で売れることもあるため、販売場所を決める際はよく検討しましょう。
小規模農業が多品目少量栽培で儲かる方法
小規模農業が多品目少量栽培で儲かるためには、以下に挙げる4つの方法があることを知っておきましょう。
- 高い単価でも売れる作物を選定する
- 高度な栽培技術を習得する
- 販路と販売方法を工夫する
- 徹底したコスト管理を行う
高単価でも売れる作物を選定して直接販売する
多品目少量栽培をするなら、高単価で売れる作物を選ぶことが重要です。
取引先や消費者に直接販売した場合、市場価格を気にせずに自分で作物の価格を設定できます。
仮に、市場の価格相場が下がっても相場に合わせて価格を下げる必要がなく、変わらない価格で売ることができるでしょう。
また、少量でも高く売れる作物なら高収益が期待できるため、多品目少量栽培との相性が良い販売方法といえます。
このように、直接販売は市場の価格相場の影響を受けにくいだけでなく、年間の売上の見通しを立てやすくなります。
高度な栽培技術を習得する
農業は1年目から成功する保証はなく技術や経験がないと失敗する可能性があるため、高度な栽培技術を習得することが大切です。
そのためには、栽培技術や農業経験が豊富な先輩から直接聞いたり、小規模農業で成功した農家の方のブログや書籍から情報を得たりして学ぶ必要があるでしょう。
経費を抑えながら作業効率を高めたい場合は、ロボット技術やICT技術を用いたスマート農業についても理解を深めておくことをおすすめします。
先端技術を農業に活用することでコスト削減を実現できます。
また、農業用のドローンを使用する場合は機器の種類によっては技能認定を受ける必要があるので、農林水産省のホームページなどで確認しておきましょう。
販路と販売方法を工夫する
小規模農業が多品目少量栽培で高い収益を上げるためには、「いつ・どこで・誰に・何を・いくらで」売るのかを考えておく必要があります。
その中でも「どこで」「何を」に該当する、販路や販売方法を工夫することで、収益化を実現しやすくなります。
一般的な作物の販売先として農協や市場がありますが、作物を買い取ってもらうためには販売先から指定された基準をクリアしなければなりません。
多品目少量栽培は作物の生産量が少なく大きさや形は不揃いになりやすいため、農協や市場で買い取ってもらうのは難しいでしょう。
そのため、作物を売るには自力で販路を開拓する必要があります。
例えば、地域で開催されるマルシェに出店したり、食材店や百貨店、飲食店などに直接卸したり、ふるさと納税を利用したりする方法が挙げられます。
また、ECサイトを開設して一般の方から受注した野菜を郵送するのも良いでしょう。
作物を漬物などに加工して販売するのも一つの方法です。
徹底したコスト管理を行う
小規模農業が多品目少量栽培で稼ぐなら、コスト管理を徹底して行うことも大切です。
無駄なコストが発生すれば、その分利益が減るため所得に影響します。
その他にも、経費の管理も必要です。
露地栽培に必要な道具は肥料や資材、支柱、マルチシートなどです。
種や苗は品質が低いものを選ぶと害虫対策や栽培に労力やコストがかかり、損失につながる恐れがあります。
安価で品質の高い種や苗を入手するなら、種苗会社直営の販売店やインターネット通販を選ぶことをおすすめします。
特にインターネット通販は品揃えが豊富なため、差別化に適した品種や品目を見つけられるでしょう。
また、ICT技術を活用することで人件費の削減も可能です。
小規模農業が儲かるためにすべき売上アップのコツ
小規模農業がさらに売上を増やして儲かるためには、次に挙げるコツを取り入れると良いでしょう。
- 作物の品質を上げて差別化を図る
- 安定した利益を得てから生産量を増やす
- 6次産業化する
それぞれのコツを取り入れることでどのようなメリットがあるのか、見ておきましょう。
作物の品質を上げて差別化を図る
多品目少量栽培で高い収益を得るためには、他の農家との差別化が欠かせません。
差別化する方法として、付加価値のある作物を販売することが大切です。
例えば、「品質が高い」「品揃えが豊富」「他では扱っていない」品種や品目を栽培するのも良いでしょう。
作物の品質を高める方法として、先端技術を用いて生育管理や出荷作業を行う方法があります。
作物のデータを収集して生育管理に活用したり、収穫予想を立てたりするのに役立つでしょう。
安定した利益を得てから生産量を増やす
農業所得を増やす上でセオリーとされるのが、農地の拡大による生産量の増加です。
小規模農業で安定した利益を得られるようになり、さらに所得を伸ばしたい場合は生産量を増やすのも一つの方法です。
農地を拡大すれば二毛作や太陽光発電、農業体験などに有効活用できるので、副収入も得られます。
6次産業化する
作物を生産する農業は1次産業といわれており、それに対して6次産業は作物の生産、加工、販売、サービスを一貫して行う産業を指します。
多品目少量栽培を行う小規模農家は作物の販売に加えて、加工品やサービスを販売して収益を上げることも可能です。
例えば、野菜の表面に傷があり販売できないものの捨てるには惜しいものがある場合、加工品にして販売すれば売れ残りを減らせます。
ただし、スーパーやコンビニには多くの競合品があるため、農家の直売品らしく新鮮さを売りに出して差別化しましょう。
まとめ
多品目少量栽培は、複数の単価が高い作物を栽培するのに向いている栽培方法です。
小規模農業で儲かるためには「高い単価でも売れる作物の選定」「確かな栽培技術の習得」「販路と販売方法の工夫」「徹底したコスト管理」がポイントになります。
まずは、小規模農業で多品目少量栽培をして高い収益を得ている先輩の農家さんから技術や知識を学ぶことから始めてみてはいかがでしょうか。
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